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アピチャッポン、カンヌでパルムドール受賞
アピチャッポン、カンヌでパルムドール受賞

先日、カンヌ映画祭でタイの映画監督:アピチャッポン・ウィーラセタクンがパルム・ドールを受賞しましたが、札幌も滞在して制作したこともあったタイの監督の受賞で、映画祭関係者もびっくりしました。

63回カンヌ映画祭

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札幌との関わりは、映画祭事務局がある札幌のインタークロス・クリエイティブ・センター内にあるアートNPOのS-AIR(エスエア)の招へいで2001年に約3ヶ月、札幌に滞在していました。海外で長期間滞在したのは、留学をのぞいてあまりなかったはずです。

当時はタイの若手映像作家のひとりでした。札幌にはイタリア在住の廣瀬智央さんの紹介でタイのアーティストを探してたエスエアの招へいで、アーティスト・イン・レジデンスというプログラムで約3ヶ月間滞在したのです。当時は、トルコで行われた、第7回イスタンブールビエンナーレの総合コミッショナーに就任した長谷川祐子さんが、タイからアピチャッポンを選出するなど、当時から映像作品の制作をしており、2つのカテゴリーにまたがる活動が、アート界の地理的な特異性から国際的な表舞台で評価され始めた時期でした。

当時の記録

このエスエアはシンガポールのロイストン・タンRoyston Tan)も2004年にレジデンス・アーティストとして札幌に招へいしています。このレジデンス滞在時に制作された作品「モンキーラブ」は後に2007年のフランス、クレルモンフェラン国際短篇映画祭のLAB部門でグランプリを獲得しました。

アピチャッポンの札幌滞在中、札幌の若手監督、荒木正人さんとコラボレーションしたり、最後は滞在制作発表展として、インスタレーション作品「Narratives」をICCで発表しました。

作品構成は3つに分けられます。1)荒木正人監督協力作品 2)ポートレイト作品 3)インタービュー作品でした。

1)の作品はタイのメロドラマの脚本を日本人の俳優、監督で撮るという作品「スワンズ・ブラッド」。2)ポートレイト作品は「Masumi Is a PC Operator / Fumiyo Is a Designer 」という二人の札幌の女性が作品に登場しています。3)インタービュー作品は「I Was Sketching」こちらもボランティアが作品制作に協力してくれました。

Narratives: Masumi Is a PC Operator / Fumiyo Is a Designer / I Was Sketching / Swan's Blood (for Intercross Creative Center, 2001)

札幌のレジデンスの後はパリにあるPalais de Tokyoのレジデンスを経験しています。札幌に滞在中とフランス滞在中は、レジデンスに参加する前に撮った作品の編集中だと言っていましたが、それが「ブリスフリー・ユアーズ」BLISSFULLY YOURS (Sud Sanaeha)」だったようです。その後、各国の映画祭で各賞を多数受賞。カンヌである視点部門のグランプリをとったのもこの作品です。


日本では、あのマシュー・バーニー手がけるトモ・スズキ・ジャパンの鈴木さんにより積極的に紹介されて来ました。また、2004年には東京フィムメックスで最優秀作品賞を受賞、後に審査員もつとめています。2004年には、カンヌで審査員特別賞を受賞。2008年には61回カンヌ映画祭の審査員もつとめています。

その彼が、今年ついにパルム・ドール賞を獲った!
パルム・ドール - Wikipedia

嬉しい限りです。

Jury Press Conference


canne2010_Boonmee-Poster.jpg

プレスキットはこちら


ここに、彼の経歴の一部を紹介しますが、やっぱり巨匠は多作でした。驚くほどの作品数です。年に数本、または数年に1本という人もいますが、才能あるアーティストは多作の人が多いのです。


■経歴など一番まとまっているところは、SCAI THE BATHHOUSEでした。

アピチャッポン・ウィーラセタクン Apichatpong WEERASETHAKUL

最近まで、個展を開催していたようです。アピチャッポン・ウィーラセタクン 個展「NATIVE LAND」
作家情報のアップデートも頻繁。ギャラリーで彼の作品を買える場所です。


■近年の上映作品については、2007年に行われた仙台メディアテークの監督特集がわかりやすい。


■ネット上、英語で特に詳しいWebsite
Unspoken Cinema
LINKS :: Apichatpong WEERASETHAKUL
リンクが強力。

■ネット上、日本語で特に詳しいWEB Page
ブログ:海から始まる!?
アピチャッポン・ウィーラセタクン 全フィルモグラフィー!
ここの検索力はすごい、最近のニュースはいつもここをチェックしています。助かります。

■タイと現代美術に興味が出てきたら
art blog void chicken DAYS
なかなか、面白いですよ。色々、アーそうだったのかという内容多数。たすかります。

■アピチャッポンを招へいした事のあるS-AIR(エスエア)
2008年には国際交流基金の地球市民賞を受賞しています。
npo S-AIR
ブログ


最後になぜ、事務局ブログの様な内容をこの[NEWS]のカテゴリーで紹介したかというと、2001年にアピチャッポンを招へい作業を行ったのは、この私です。エスエアのレジデンスアーティストとして札幌のスタッフと当時のボランティアで彼の作品制作をサポートしました。

作品制作に関わった全ての人がアピチャッポンの受賞を喜んでいると思います。2001年以降はあまり直接関わりはありませんでしたが、ここに彼の活躍の一部を紹介する事がなにより重要だと思います。ナディフでは書籍も販売しているようです。もちろん、トモ・スズキ・ジャパンにも問い合わせ出来るようです。興味のある方は取り寄せてみてはいかがでしょうか?


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