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SSF2009 World Tour in PORTLAND レポート

2010.1.3

12月6日にアメリカ・ポートランドのNorthwest Film CenterにてSSF2009ワールドツアー上映が行われました。
上映レポート


今回はSAPPOROショートフェスト2009のワールドツアーの一環として、札幌ポートランド姉妹都市提携50周年を記念し、ポートランドのNW Film Center(ノースウエスト・フィルム・センター)でSAPPOROショートフェスト受賞作品の中から日本の短編アニメーション作品をオムニバス形式でまとめた約80分のプログラムを「SAPPORO Animation Shorts」というタイトルで上映することとなりました。
札幌ポートランド姉妹都市提携50周年という節目を機に、双方の都市の国際映画祭の連携を軸に観光・文化・経済交流の活性化、そして市民・企業の将来的交流の土壌作りという目的も兼ねた訪問となりました。
【12/4】 
15:48 ポートランド(オレゴン)着
ポートランド国際空港で「ポートランド札幌姉妹都市協会」(Portland-Sapporo Sister City Association)の洋子グールディ女史の出迎えを受け、車で市内へ。
空港から市内までは、車で30分程の距離。市電が整備されており、市電に乗って市内まで移動も容易。
市内は立地的にも豊平川にあたるウィラメット川が東西を分け、大通りにあたるバーンサイド・ブルバードが南北を分けるといった具合に札幌に酷似しており、円山にあたる丘陵地域に山の手の住宅地が広がり、動物園、公園、バラ園などがある。中心地区は碁盤の目に整備され、東西南北に市電・公共交通網が整備され、市内中心地域は無料で自由に乗り降りが可能になっており、市民の足として大変有効に活用されている様子でした。
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チェックイン後、NW Film Centerの事務局マネージャーのクリスティ・コンラッド女史とMTGを兼ねた会食。
アジェンダ確認、PR資料配布の後、NW Film Centerでの映画祭活動のブリーフィング、今回の日本特集プログラム「JAPANESE CURRENTS」について概要説明を受け、1日目は終了。
【12/5】
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● NW Film Center – Bill Foster (Director)
NW Film Centerのディレクター,ビル・フォスター氏と面会。
NWFCの活動内容、文化的役割について説明を受けました。
ポートランド美術館の外郭団体として、30年近く活動されており、現在の年間予算は約2億円。30名の正規・契約スタッフで年間を通じたフィルム上映、映画祭の組織運営、映像教育機関、映像を中心とした総合文化機関として運営されている。
新聞社、テレビ局、広告会社など、メディア企業を中心に地元の主要企業が恒常的なスポンサーとして、活動をバックアップしているとのこと。ポートランド・アート・ミュージアムの中にシアターを持ち、基本的にはプライベートな基金がメインで様々な公的な団体が資金を提供している。年間を通じ上映イベント映画祭などをオーガナイズする機関でもあるが、フィルムスクールとして映像教育や、アーティストへの支援なども行っているそうです。
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年間を通じて行われている映像系のイベントには、Portland International Film Festival(2010 Festival dates: February 11-28, 2010.)やNorthwest Film & Video Festivalなどがあります。
ちなみに、この映画祭は、以下の様なスポンサーがサポートしている。
* The Oregonian * Regal Cinemas
* Hollywood Video * Oregon Public Broadcasting
★Wieden + Kennedy ★ Laika
* Blockbuster Video * Tropicana
* Bank of America * Comcast* Sundance Channel
* BRAVO * HBO * Independent Film Channel
* KINK-FM * KBOO* Kodak* Starbucks* Tazo
Stumptown * Higgins * Southpark
* Sierra Nevada* Bridgeport
Willamette Valley Vinyards * Federal Express
* Lufthansa * American Airlines * Alaska Airlines
* Mexicana Airlines * Willamette Week
* The Mercury * The Nines Hotel* Hotel Lucia
* Hotel deLuxe * The Heathman Hotel
* Governor Hotel * Westin Hotel
* 5th Avenue Suites * Paramount Hotel
* Oregon Film & Video Office
* Academy of Motion Picture Arts and Science
* Port of Portland
* The Rose E. Tucker Charitable Trust
特にスポンサーで注目するのは「LAIKA, Inc」というアニメーションスタジオは、ナイキが投資している会社。世界でも話題となる作品を制作しています。
「オレゴン州ポートランドに本拠地を置くLAIKA, Inc.(LAIKA社)は、アニメ映画、テレビコマーシャル、ミュージックビデオ、放送グラフィックス、そしてショートフィルムに特化した、エンターテインメント・メディア企業です。LAIKA社のオーナー兼会長、またNike, Inc. の共同設立者兼会長のPhilip H. Knight氏のビジョンによって支えられた、映画制作者、デザイナーやアニメーター達の活気あるコミュニティです。」
2009年に全米で公開された長編ストップモーションアニメ映画『コラライン(Coraline)(邦題「コララインとボタンの魔女 3D」)』は、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のヘンリー・セリックが監督・脚本した、ストップモーション・アニメ映画。 <日本では2010年2月公開予定>
www.laika.com
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―NW Film Center―6:00 
~JAPANESE CURRENTS~会場下見
上映作品:「アキレスと亀」北野武監督、「歩いても、歩いても」、「空気人形」是枝裕和監督etc.)などを上映していた中で、「THE CLONE RETURNS HOME(クローンは故郷をめざす)」(監督・脚本:中嶋莞爾、主演:及川光博)を鑑賞。
作品はヴィム・ベンダースがプロデュース。
ちょっと退屈なテンポの映画だったが、観客の反応はとても良かった。スクリーン自体は大変良い環境。観客も60名ほど入っていたかと思います。
その後はICC開催のtomatoワークショップ参加者で現在ポートランド在住のコリン・ナカムラさんと会食。ポートランド市の経済、住環境など生活者視点でのメリット・デメリットなどを聞きました。
【12/6】
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○PNCA(Pacific Northwest College of Art) 地元美術大学視察
現地でコーディネートをしてくれた吉川徹さんが卒業したアートスクールを訪ねました。ここから排出されたアーティストは各国で活躍するも地元での活躍も多いと聞きました。中には実業し自らがベンチャー企業を立ち上げる人もいる。札幌とやはり似ていて、ポートランド外から若者が集まり、住み心地の良さでそのまま居着く若者も多いとか。
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しかし、産業としてはこちらも札幌同様、地場での大型産業には至っていないようでした。地元の広告会社、ワイデン アンド ケネディー社などがここでワークショップを行っていて、ICCとtomatoの関係にも似ている。札幌の市立大学などの連携もおもしろいのではないか。
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大学のHP: http://www.pnca.edu/
●Sapporo Animation Shorts 16:30~ NW Film Center
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いよいよ、Sapporo Animation Shorts の上映。
運営やゲストのアテンドなどは日米協会オレゴン<Japan-America Society of Oregon>とポートランド札幌姉妹都市協会が行っていました。我々も観客の皆さんの前で、映画祭についての概要と今回のツアー上映について、そしてプログラムについて紹介をさせていただき、上映を行いました。
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上映の参加人数は100名ほどでした。上映が日曜と言うことやアニメということもあり子供たちの姿も見受けました。上映中は非常に静かでおとなしい観客である印象があり、カリフォルニアの賑やかさとはだいぶ違う印象を受けました。
「サイボーグ11号」では笑いが起きていました。入り口ではフライヤーを熱心に見る若者もいて、関心の高さを感じました。
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上映後すぐにBillさんから上映テープをいただいた。写真は上映室。右の座席は年間を通じたシート会員シートになっていました。
●Sapporo-Portland姉妹都市協会のレセプション
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上映後のレセプションなどは、ポートランド札幌姉妹都市協会が仕切り、日米協会オレゴンもボランティアとして協力していたようです。食事なども皆さん、手作りのスナックを作ってきてくれていました。参加者の中には在ポートランド日本国総領事の岡部孝道様もこられており、ご挨拶をさせていただいた。
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写真(左)が、ポートランド札幌姉妹都市協会の洋子グールディさん。写真(右)は、左から久保、NWFCのBill氏、 Dixie McKeelさん、、NWFCの Kristy さん、同行した吉川さん。
【12/7】
● BillさんとFilm Centerで2度目のミーティング。
市役所のNOAH氏や観光協会のJEFF氏などとも関係があり今後ネットワークのハブになってくださるとのこと。具体的なスケジュールや実施内容などは決めていないが、今回のプログラムを定例化させても良いのではないかと意見はいただきました。
○ポートランド市役所を訪ねる
面会者:
-NOAH SIEGEL氏:Director of International Affairs Office of Mayor Sam Adams City of Portland 国際部長
-TOM MILLER氏:Chief of Staff 市長主席補佐官
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在札幌米国総領事館の経済担当John Taylor氏からのご紹介で市役所のNoah Siegel氏を訪ねました。控え室で待つ我々に市長が軽く挨拶をしてくれると、Siegel氏が応接室へ通してくださり、すぐに TOM MILLER氏が登場し、我々を紹介してくれました。
今年は札幌ポートランド50周年ということもあり、我々の今回のツアーや訪問に関しては大変歓迎されている印象を受けました。今年6月の市長訪問の話にふれ、今回のような映画祭を通じ民間レベルでも協力した交流を行っていきたいという意志を確認しました。
特にBill Foster氏の務めるフィルムセンターは広くポートランド市や協会、団体、企業とつながりを持っているのでそことの関係を重要視していました。今後も映画祭の開催に関して連絡を取り協力を得られるような関係を築きたい。
● Sapporo-Portland姉妹都市協会のレセプション夕食会 6:00~
ポートランド札幌姉妹都市協会の副会長Steve Orcutt氏とMiki Florence DesRocheraさん。
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ポートランド札幌姉妹都市協会の洋子グールディさんも同席予定だったが残念ながら参加できなかったが、Mikiさんが札幌に住んでいたこともあるとのことで参加してくださいました。写真(左)は姉妹都市協会の副会長Steve Orcutt氏で、ベトナム戦争にも行かれた経験があり、日本にも駐留していたとのこと。札幌にも何度か訪れてくださっている。彼らからはポートランドの魅力は札幌との関係のお話をしていただき、我々の映画祭についてもお話をさせていただきました。この協会の活動の大変に親切で、札幌との交流の役割をきちんと負っていたように感じます。今後も映画祭の情報交換を行う団体であると確認をしました。
お二人とも札幌からのお土産の六花亭のチョコレートを喜んでいました。
▼同行の吉川徹さんは、PNCAの恩師であるRobert Dozonoさんと会食。
BOBさんの弟さんはSho Dozono 堂園 正蔵 (市長へ立候補した人物)で、アズマノ・トラベル(株)社長。「オレゴンから愛」などをコーディネート。ポートランド、マリナーズなどのツアーを行ってる。映画祭やスポーツなどの観光交流などに関心あり。*ロバート・堂園氏(画家)(堂園家はポートランド日系コミュニティのキー・ファミリー。80年代にフジテレビ系列で放映された「オレゴンから愛」の脚本ベースとなった家族)
【12/8】
1:00pm~
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○アズマノ・トラベル(株)
代表取締役社長/ポートランド市商工会前会頭
Sho Dozono 堂園 正蔵
観光文化との交流の中に、スポーツ観戦や映画祭などを組み込み案。ポートランドの人間を映画祭にツアーする。などのプランの窓口としてコンタクトを試みた。フジテレビの番組「オレゴンから愛」のコーディネートを引き受けていたことからフジテレビとの関係が深い。ポートランド市や、ポートランド観光協会のJeffrey Hammerly(国際観光部長)とも関係が深く、Jeffは力になってくれる男だと紹介してくださっていた。札幌・ポートランド姉妹都市連携を観光ベースで協議。 今後も連絡を取り合う約束をした。 80年代以降、学生のホームステイや修学旅行案件で日本企業・学校法人とのパイプを持つ。「YOKOSO, JAPAN」キャンペーンのアドバイザー経験も持つ。観光交流・文化交流の将来性を確認できた。
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○ポートランド観光協会 国際観光部
部長 Jeffrey Hammerl氏(写真左)
ポートランド観光協会(travel Portland)は Hiltonホテルのすぐ隣のブロックに位置し街の中心部にある。Jeffさんは札幌市の国際部のご紹介や、 日本のオレゴン州政府事務所の堀さんからの推薦もあり、今回の訪問を歓迎してくださっていた。日本語も堪能で、札幌への関心も高く、アズマノトラベルとの関係も深い。ポートランドへの観光誘致がメインであるが、札幌や日本との関係の中で、文化の交流や経済交流、人材の交流など人が行き来できる環境を整えてくことに関心がある。映画祭に関しても大変に興味を示しており、チャンスがあれは是非札幌に来たいとのこと。継続的情報交換を行っていけると良いと感じた。
○ Compound Gallery(コンパウンド・ギャラリー)
オーナー:田中 克幸氏(Katu Tanaka)
10_0104_portland_20.jpgポートランド観光協会のJEFFさんのおすすめで、 ポートランドのダウンタウンで始めたコンパウンドギャラリーに行ってみた。日本のサブカルチャーを中心としたグッズなどが見せいっぱいに売られている。店の2Fにはギャラリーを展開。札幌の作家BAKUの展覧会をキュレーターと考えていたということで私の訪問を驚いて居た。映画祭にもアニメを中心に関心があり、特にポートランドに日本カルチャーに対するアピールの拠点となり得ると感じた。彼もまた広くキーマンと繋がっており、ワイデン アンド ケネディーの東京オフィス代表のジョンジェイ(John Jay)と親密な関係。事務所も向のビルにあると教えてくれ連絡を取ってくれるほど。
○ Wieden+Kennedy ワイデン アンド ケネディー
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W+K Tokyoの前東京支社長を務める John Jay氏はNWFCのBillやPNCA、市役所や協会などででも信頼される人物。W+Kの本社にもご挨拶に伺ったが、偶然、彼が出資する飲食店「Ping」にて挨拶することができた。映画祭としてはアドバタイジング・パートナーなどの協力を得られるよう今後も交渉をしていきたい人物。NWFCのスポンサー関係になっているので、彼らとの連携でグローバルスポンサーの獲得に動きたい。
ポートランドのワールドツアーの一環として行った上映会を中心として束のような関係を知れたのは大きな収穫だったと思う。今後この関係を途切れないように継続し、前進させることに努力したい。
久保俊哉(SAPPOROショートフェスト実行委員会副委員長)