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Yahoo! JAPAN ドキュメンタリー上映会に参加してきました。

2019.2.5

1月の下旬にYahoo! JAPANの映像クリエイター向けの、ドキュメンタリー上映会に参加してきました。2018年11月に新しく始まったYahoo! JAPANの「クリエイターズプログラム」の中で無料公開されている、「SHORT SHORT FILM FESTIVAL & ASIA」Yahoo! JAPAN特別セレクションの上映作品(ノンフィクション作品)をみんなで観る!というイベントです。
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Yahoo! JAPAN クリエイターズプログラム

2018年から始まったショートショート フィルムフェスティバル & アジアのノンフィクション部門の上映作品、32作品を期間限定ながら無料で公開しています。これだけの数のドキュメンタリーを字幕付きで観られることはこれまでなかった事ではないでしょうか?
場所は東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井タワーのYahoo!JAPAN本社。
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イベント当日は、ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(以下、ショートショート)のプログラマー、磯山亜紀さん、クリエイターズプログラムにも参加しているジャーナリストの綿井健陽さんアジアプレスインターナショナル)とビデオグラファーの岸田浩和さんも参加。岸田さんは、在日ナイジェリア人と日本人がオーナーをつとめるサッカーチーム・イガンムFCの取材を続けています。


今回のYahoo! JAPANがサポートしているノンフィクション作品群を観る会では、ショートショートの磯山さん、札幌国際短編映画祭からは本間が参加しましたが、日本の2大国際短編映画祭の担当者が並んで登壇する事は希で、それぞれの映画祭の特徴を紹介しました。前半は二人の推薦・気になる作品を紹介。後半は綿井さん、岸田さんによるクルド人の女性戦闘員と現地の取材状況などの話しになりましたが、当日は約50名弱の方が参加してくれました。
まず、「SHORT SHORT FILM FESTIVAL & ASIA」Yahoo! JAPAN特別セレクションの上映作品はノンフィクション部門のコンペになっており、ノミネート8作品からノンフィクション部門 優秀賞として『メリエム』が選ばれています。監督はSSF2016の最優秀ドキュメンタリー賞を『スナイパー・オブ・コバニ』で受賞したラベー・ドスキー監督の作品。


メリエム | Meryem ノンフィクション部門 優秀賞
自由のため、イスラム過激派と戦う女性たち
16:00 / オランダ / 平和と戦争 / 2017
ラベー・ドスキー監督の長編作品『ラジオ・コバニ』は2018年春に日本のアップリンクで公開され現在はオンラインでも公開中です。『メリエム』では、最後の方にラジオ・コバニのスタッフ(ディロバン)のインタビューシーンも見る事ができます。
オススメ作品の紹介
Yahoo! JAPAN 特別セレクションでは【戦争と平和】【ワールド】【ライフ】【カルチャー】【ネイチャー】【ヒストリー】という切り口で日本語字幕付きの作品が見られますが、まずは
喪失のあと | Lost & Found

年老いた未亡人が語る、その人生
24:00 / アメリカ / ライフ / 2017
ナオミ・イワモト監督の南カリフォルニア大学(USC)卒業制作作品。老人ホームに暮らす年老いた未亡人達を追った、ハートウオーミングな秀作ドキュメンタリー。3人の女性達の思い出と新たな出会いのプライベートな時間が垣間見られます。
そこに住む人々 | Camrex

13:05 / イギリス / ライフ・ヒストリー / 2016
監督:マーク・チャップマン
サブタイトルに「ホームレス用宿泊施設は、恐ろしい場所だった」とありますが、映像は全く暗いイメージはなく、実はとてもスタイリッシュ。こちらの作品はフランスのクレルモン=フェラン国際短編映画祭、イギリスのエジンバラ国際映画祭でも上映されていますが、実は監督HPで紹介されているだけでも44の国際映画祭で上映されている秀作です。監督のマーク・チャップマンさんは、ビジュアル・アーティストとしても活躍。この作品はドキュメンタリーというジャンルに入っていますが、それぞれのシーンは出演者と一緒に練り上げられたカットで構成され、希望のカットが取れるまで何度かやり直しているそうです。映像制作者向けのちょっと玄人好みの作品です。
アレッポからの便り | Greetings From Aleppo

故郷シリアを訪れた写真家、アレッポからの便り
17:00 / オランダ・シリア / 平和と戦争・ライフ / 2017
シリアの内戦を報道するニュースは毎日の様に報道されますが、この作品はシリア、トルコとの国境に近いアレッポに暮らす人々のリアルな日常を映し出す貴重な映像です。こちらもオランダ、ロッテルダム国際映画祭、イギリス、エンカウンターズ短編&アニメション映画祭でも上映。毎日、スナイパーから見えないようにしながら生活する人々、戦時下でもアート制作活動を続ける人、お店の商品に降りかかった瓦礫の埃をキレイにはき続ける店主など、報道では伝えられない日常の映像。
*ちなみにエンカウンターズ短編&アニメション映画祭は、あの「ひつじのショーン」で有名なアードマンアニメーションズがメインスポンサーのブリストルの映画祭です。
遠くから聞こえる口笛 | A Whistle Comes From Far Away

村人が伝え残す、口笛の会話文化
16:00 / トルコ / ワールド・カルチャー・ヒストリー / 2016
トルコ・クシュコイ村の人々は口笛で会話をする。オンライン上でも話題のこの村の人々。ほのぼのと口笛を子供達に伝える男性と子供達の姿に、口笛が伝えられる内容にビックリします。250もの単語で会話可能だとか・・。携帯は不要です。
犠牲になるもの | At What Price

SNS上の写真たち、その虚像と実像
11:47 / アメリカ / ライフ・ネイチャー / 2016
ネイチャーフォトグラファーを追った作品。監督は札幌の姉妹都市、ポートランド市在住で映画祭と交流のある、ポートランドの「Northwest Film Center」で映画制作を学んだそうです。Portland International Film Festivalを運営したり、12月には毎年、Japanese Currentsという日本特集の上映会も企画している日本通なフィルム・センター。ポートランド在住の映画監督、ガス・ヴァンサントもここで教えていた事があります。
おそらく、この32本の中で一番気楽に観られる作品。ネイチャーフォトグラファーがSNSを使ったセルフ・ブランディングの取り組みとキャリアの初期の動機などを告白、最初は誰もが素人だった。山岳写真も見応えがあります。
人生はダンスホール | Dancehall is us

ダンスを通して垣間見えるジャマイカの本質
18:44 / ロシア / ワールド・カルチャー / 2016
「ジャマイカの本質」とありますが、レゲエ好きなら一度は訪れたいジャマイカ。そのジャマイカのダンスホール・カルチャーがちょっと垣間見れる作品です。毎晩行われるパーティーの様子や、ボブ・マリーがアルバム制作したHarry J Studioなど、リアルなジャマイカのミュージックシーンが興味深い。撮影編集は監督のトミー・デイ。編集が地味に上手ので18分もあっという間に感じます。
その他、
国家主席になりたい男』も見応えがあったり、アニメーションの『』もアートアニメーションとドキュメンタリーの融合で面白い作品です。
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このコレクションは全て字幕付きの作品で、映画祭という枠にとらわれない幅広いセレクションが魅力のノンフィクション作品が見られる貴重な内容です。最近はドキュメンタリーに限らず、アマゾンやネットフリックスなどのストリーミング・サービスによる視聴習慣も広がっているので、この機会にクオリティーの高いワールド・ドキュメンタリーを見てはいかがでしょうか?
札幌国際短編映画祭のセレクションとは少し違いますが、ショートショートのノンフィクション部門の上映作品が観られる大変貴重な機会です。